ハブ予 防対策と生態など「ハブ」はハブの仲間を含む場合あり. 表示の価格や資材の提供状況 等は変動.対策の手法や道具  <参考価格;入手先> 

ペットボトル利用誘導トラップ(試 用品) ハ ブ対策の一部 Habu trap

製作・設置法 

  

設置例 (フェンスか壁が必要)               進入中のハブ (実験)                 一夜で捕れたタイワンハブ (実験)

 誘導トラップは,ブロック塀や建物の壁などに沿って這うハブの捕獲をねらった,住民が簡便に用いることができるハブ対策用の道具で す.ネズミなど の餌を用いる必要がないため,設置後は手間や経費をほとんどかけることなく,屋敷近くのハブが減少します.すでに3角型が市販されていますが,ここで紹介 するペットボトルトラップは,わずかな材料費で利用者が自作できるトラップとして考案されました.飼育ハブを用いた実験では,好成績が得られています.材 料などは耐久性があるものを選びましたが,原型のため欠点がある可能性があります.その場合改良などを施しながら,試用して下さい.

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材料 (価格は参考値です)

(1)ペットボトル
 容量が2Lで断面が長方形(105×90 mm,周囲390 mm)のものを,ハブ用には3個,タイワンハブ(とサキシマハブ,以下も)用には2個用います.なお,タイワンハブ用には,容量が1.5Lで断面が円形 (直径90 mm,周囲283 mm)のペットボトル2個でもかまいません.いずれのボトルも,県内では最も多く用いられています.
(2)翼部の金属網
 2分(6mm)目のドブ付け網(亜鉛メッキ溶接金網,ドブ網とも言う)を用います.市販の網は幅が910 mmで,トラップ1台あたり長さ約30 cmが必要です.網は,15mで5000円,1mの切り売りで約400円ですので,1台あたりの単価は約130円です.
(3)ドア部などの針金
 入口からハブが逃げないためのドアを造るため,#18(18番,直径1.1-1.2 mm)のステンレス針金を用います.トラップ1台あたり,長さ約20 cmが必要です.
 金網の円錐部の形成と,隙間埋めのために,ステンレス針金(#22くらいの細いものが適当)が必要です.トラップ1台あたり,長さ約25 cmが必要です.
(4)マジックテープ(ガムテープで代用可能)
 ペットボトルの連結用に,25 mm幅のマジックテープ(例:A3800とB10510,クラレファイニング(株))を用います.トラップ1台あたり,前者のAタイプは,約18 cmで28円(ロール単位で購入の場合で計算),後者のBタイプは約30 cmで39円必要です(いずれもボトル2個を3面で固定した値でハブ用なら3×2=6セットとなる,写真の2面固定よりも頑丈,タイ ワンハブ用の場合はボトルが2個で完成のため,これらの半分の長さが必要).
(5)固定用ステープラー
 金網とマジックテープを,ペットボトルに固定するために用います.針は,大型のステンレス製の,マックス針21151/4ステンレス(マックス(株), 5000本入り)を用います.鉄製の針は,野外では錆びのため耐久性が低いため,避けてください.本針には,ホッチキスHP-50(品番HP90028, マックス(株))を用いることになっていますが,同等品の利用も可能です.なお,針金(ステンレス#22くらい)を用いて金網とマジックテープをペットボ トルに固定すると,ステンレス製針とステープラーは不要です.
(6)防草シート
 雑草が多い場所にトラップを設置する場合に,トラップの下に使用し,草刈りを容易にします.幅1m×長さ100mで4万円前後で, トラップ1台につき最低70 cmの長さが必要です.

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製作法

(1)ペットボトル
 カッターナイフで,上下を切断します.ボトルの底部は,先細りの形状は避けますが,切断部はできるだけ短くします.ボトル上部は,別のボトルに入れ込む 場合は先細りの部分で,逆に他のボトルを入れ込む場合は中央部と同じ太さの最上部で,切断します.
 金属網の円錐部を入れる切り口は,円錐部の斜面にペットボトル端が沿うように,長さ約15 mmの切れ目を,ペットボトルの周囲に6箇所前後入れます.また,他のボトルを入れ込む端も,同様の切れ目を入れます.
(2)翼部の金属網
 ハブ用には,事前に網を290 mmの幅に切っておきます.市販の網の幅(910 mm)いっぱいを用いるように作図した型(下図)を,厚紙などで作っておきます.この厚紙の型を金網上に置き,周囲をマジックでなぞって,左右の金網部を 計2枚描きます.そのさい,円錐の中心部と,円上の切り込み端とドアの天井方向を示す各ポイント,計5点も印しておきます.マジックの線に沿って金切り鋏 で切り取り,円周上の切れ目も入れます.切断後の上下の端は,針金の飛び出しが少ない方が,その後の扱いが容易です.
 なお,立体化したさいに生じるペットボトルと翼との間隙をなくすため,上記の金網の余り部分を用いて,80×80 mmの直角3角形(直角の2辺は針金の飛び出しを切って無くす)を1翼あたり2枚,計4枚用意します.
 タイワンハブ用として,容量が1.5Lで断面が円形のペットボトルを用いる場合には,下図の各寸法を約0.75倍にします(ハブ用と同じボトルなら,ハ ブと同じ型です).
 切断後,必要なら,網の長めの斜辺を5-10 mmの幅で折り返します.これは,製作後の金網どうしの絡まりと,設置などの作業のさいの扱いにくさとを減少させるためで,ハブの捕獲には,必ずしも必要 ではありません.少数の台数を製作・設置の場合は,不用です.作業には,金床,木槌,革手袋があれば,便利です.
 円錐部の形成のため,円の中心を起点に,上部の”のりしろ”部を重ね,ステンレス針金(#22くらい)で固定します.このさい,後で作るドアを押さえる 部分の強度を確保するため,溶接網の格子のなかで,円錐の頂点方向に向かう( 下の展開図で縦方向)針金が,円錐の内側(内面)にくるように丸めます.逆にした場合には,ドア上部を巻き込むさいに,金網の溶接が外れることがありま す.

  

金網の型,これを拡大コピーし実物大の厚紙を作る

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ペットボトルの両端を切り落とす        マジックテープを付ける(3面が安定)        上図の型から切った金網       ペットボトルに金網を固定

 

入り口とドアの針金          ドアはここまで開くように

 円錐にした金網に入口の穴を切り取る前に,ドアを下げるポイントの決定が,重要です.このポイントは,円錐の頂点から見て,左か右にずれた部分の頂点か ら下のほうに設定します.穴は頂点部に位置するという印象から,頂点の周辺を切り取りがちですが,思い切って左右にずらせ,かつ下の方を狙います. 上の展開図は,ハブ用の設定につき,入口の穴が小さいタイワンハブ用には,より中心に近い部分を狙います.ドアを巻き込む網部の位置の左か右へのずれが小 さすぎると,より下にあるドア釣り下げ部は翼の中心に近い部分に位置してしまい,完成時にドアが垂直でなく斜めになってしまいます.また,頂点から十分に 下に位置しない場合は,完成時に入口の穴の楕円面が斜めになり,その下のほうは,垂直に吊り下げたドアとの間に,隙間が生じます.完成時の入り口の周囲 は,垂直か下の方が出っ張った状態で,ドアの下部が寄りかかる状態が望ましいです.
 ニッパーで,まず,ドア巻き込み用の部分(飛び出したE字型)の外側を切ります.その後,穴の位置を想定しながら,完成時の穴よりも小さめに,針金を 切っていきます.切り終えた状態では,針金のトゲがない方がいいです.
 つぎに,ラジオペンチで,穴周辺を外側に曲げ込みます.穴の形(下の図)は,横に大きい楕円形を目指しますが,大きさが近ければ,円形や一部が角張った 形でもいいです.曲げた周囲はラジオペンチで圧拍します.周囲に,飛び出した針金があると,ドアの引っかかりの原因となるので,切断するか穴の外に圧拍し ます.
(3)ドア部(下の図)
 まず#18の針金を,ラジオペンチとプライヤーとを用い,直角にコの字に曲げます.先細りのラジオペンチの先端部のなかで,ハブ用,タイワンハブ用の入 口上部の幅(それぞれ,9-10 mmと8mm)に適した部分を選び,針金を挟みます.プライヤーで90度より小さい角度まで曲げてから,ペンチなどで戻すと,するどい直角が得られます. この曲げが甘く曲線状の状態では,吊り下げ後のドアが不安定になります.

入り口(灰色)の大きさ(下端のサイズ)とドア部の針金(太線)

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 ドアは,穴から飛び出したドア巻き込み用の部分より,1マス下のマス(網目)を挟むように金網に差し込みます.このままでは,ドアはわずかにしか開かな いので,差し込んだあとに,ドア上部を指で持ち,開く方向に力を加えます.ドアは逆立ちの位置まで開くように力を加える必要はなく,100度くらい(水平 よりやや上まで)開けばいいです.開きすぎると,完成時に,ドアが逆立ち状態で停止する可能性があります.この加力により,釣り下げ部の金網とドアが曲が ります.凹状に曲がったドアの上部は,凸状の緩いカーブになるよう,指かラジオペンチで調整します.これは,ドアの針金が入口面よりも円錐内部に入らない ようにするためです.
 ドア上部を,ドア巻き込み用の金網で押さえます.中央の1マスを,ラジオペンチで入口上部に巻くように被せます.その上に,L字の針金部を,中央に折る ことにより,重ねます.このL字で,巻き込んだマスの中央部の隙間を小さくし,ドアの遊びを小さくします.まだ遊びが多ければ,ラジオペンチで巻き込み部 を弱く圧拍します.他のI(アイ)字端を折り曲げて,重ねてもいいです.ドアを動かしながら,開閉がスムーズになるように,また,ドア上部が回転して左右 にズレやすくないように,圧迫の程度を調整します.
 吊したドアの2本の針金のうち,入口の楕円の中央に近いほうを,入口の下部より7mmくらい長めに切ります.他方の針金は,入口の下部より3mmから 4mm上をラジオペンチで挟み,端を指で曲げます.曲げる程度の調節で,入口の開放部(入口周囲とドアの針金とで区切られた部分)に,とくに大きい部分が ないようにします.この針金端も,入口の端より7mmくらい長めに切ります.入口の針金の両端とも,凸状になるよう,緩くカーブさせて円錐面方向に曲げま す.ドアが入口面よりも,円錐の中に入ってしまうと,捕獲ハブがドアと円錐面との間から逃げやすくなると推測されます.ドアは,入口面と同じか,または円 錐の頂点方向に,緩く膨らんでいるほうがいいです.

 

ハブ用(ペットボトル3個)                  タイワンハブ用(ペットボトル2個)

(4)マジックテープ
 AとBのマジックテープを,それぞれ約3cmと5cmの長さに,ペットボトルの連結部の数の3倍の数を切っておきます.連結1箇所につき3面にマジック テープを用います(別写真では2面ですが3面が頑丈).Aは,他のボトルに入れ込むペットボトルの先細りの端に,端から入れ込む長さ数cm分離れた箇所 に,ステープラーのステンレス針2個で固定します.なお,接着剤付きのAを試用した場合でも,設置後に地面に接する場合には接着面が剥がれやすいため,ス テープラーでの固定が必要です.Bは,外側のペットボトルの対応端に,やはりステープラーのステンレス針2個で固定します.
(5)ペットボトルへの金網の固定
 金網をペットボトルの角に密着させるため,事前に円錐の底部の円を角張らせておきます(丸いボトルでは不要).金網の円錐部をペットボトルに押し込み, 入口がボトル断面の中央にくるように,また,翼部の上端と下端の斜辺がペットボトルの,それぞれ側面と下面から同程度にはみ出すように(設置時に壁と地面 との間が開かないように),位置を決めます.金網の切れ込みの奥にステープラーを入れ,ステンレス針でペットボトルの角近くから固定します.その後,中心 を確認しながら10箇所弱を固定します.なお,固定後にも,金網は,強く引っ張ればペットボトルから分離可能のため,やり直しが出来ます.
 ステープラーのステンレス針が無い場合は,細め(#22くらい)のステンレス針金で固定します.そのさい,ペットボトルの端の周囲に,針金を通す穴が必 要です.穴は千枚通しなどで,ペットボトルの底を切る前に,多めに(12-20箇所)開けておきます.
 その後,ペットボトルと翼との間に残る上下の間隙に,直角3角形の金網を1枚ずつ,左右で計4枚,ステンレス針金(#22くらい)にて固定します.固定 は,円錐面の外側に3角形の一部が付くようにします.

一般的な 罠作りのこつは, ここから

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設置と管理法

(1)トラップの設置
 草の多い場所なら,(3)の防草シートの設置をまず行います.翼の金網を外側に曲げ,隙間に固定した3角形の金網の中心に近い部分を,翼の内側に入れま す.全体を壁と地面とに当て,大きすぎる翼の部分を,内側に湾曲させます.壁と地面との交点を,金網の突起が塞ぐように密着させ,ブロックなどの重しを置 きます.ドアが,ぶら下がる方向に固定され,開閉がスムーズなことを確認します.
(2)設置後のトラップの管理
 翼内部に,枯葉などが詰まっていれば,取り除きます.必要なら,周辺の草を刈ります.ツル性の植物がトラップ内部に侵入していれば,ドアを壊さないよう に注意しながら,取り除きます.ドアの開閉具合と,翼と壁・地面との隙間に問題がないかを調べます.ドアを調整する必要があれば,マジックテープを外し, ペットボトルを分離してから行います.管理は,数ヶ月に1回と,台風の後に行います.
 トラップ内でハブが生きており,放置が危険な場合は,ハブノック(別ページを参照)などで殺します.ハブをトラップごと運搬する場合には,袋か箱に入れ て行います.ペットボトルはハブの牙は通しませんが,金網部は危険なので,触らないようにします.
(3)防草シートの設置法
 1m幅の防草シートを,約70 cmの長さに切ります.設置予定地の草を刈り,ゴミや石を除き,地面を平にします.接着予定の壁面に,コケや泥などがあれば,へつって取り除きます.シー トの長い1辺に,ボンドを塗ります.数分間後の,ボンドが乾く直前に,シートを逆さにして,壁に接着します.
 壁と地面との交点にシートが密着するように,シートを手前に引っ張らないよう気を付けて,シートに杭を打ちます.U字杭(直径3mmの針金製)の長さ (10-35 cm)は,地面の固さに合わせて選びます(または造ります).杭は,シートをガードする板(5cm四方のポリプロピレン板など)と一緒に,打ち付けます. なお,杭打ちのかわりに,シートの端に土を被せてもいいです.

 

雑草が多い地点では防草シートを敷く             日陰では防草シートは不要

(メモ)
 金網とマジックテープを,小口で購入しても,材料費は200円前後と安価です.金網の型は,別ページの図100を拡大コピーすれば得られます.製作は, 入口の穴の形成と,ドアの細工がもっとも困難です.ドアの吊り下げ部の設定と,コの字のドアの作製,ドアの取り付けと,大きい隙間が無いような成形ができ れば,その他は大きな困難は無いです.いくつかの失敗を経ると,入りやすく逃げにくい入口ができるようになると予想されます.沖縄県衛生環境研究所などに ある完成品(平成20年時点)を参考にすれば,より製作が容易になります.
 

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