おもに沖縄諸島のハブの生態と対策の情報です (一部その他のヘビの情報も含みます).
以 下で,「ハブ」は, ハブ以外のハブの仲間を含む場合があり,対策や応急処置の方法の多くは共通です.
(表示の価格や資材の提供状況 等は,販 売店や時代により変動します)
目次から各説明へ移動します(下部とリンクページはその詳細です).
内容が多いですが,強調した語句(赤字や黄青地)から,ご希望の箇所をさがして下さい.
Link to the page on Net-trap Method in English
2011年8月以降
2013年7月 : 刺し網のページに,石垣の穴に設置する場合の新方法 を追加.
2013年6月 : 刺し網のページに,ハブが捕れない場合,網をワイヤーメッシュへ張るこつ を追加.
2013年4月 : ハブフェンスのページ内容追加. .
2012年11月 : 記載内容の整理と添付ファイルの改善(主に刺し網のページ). .
2012年10月 : 沖縄県公衆衛生協会のハブ対策用具価格改定をこのページでも反映.
ハブ類咬症の疫学資料に,図を追加. .
2012年6月 : 一部改正と写真追加. .
2011年12月: 写真を追加. .
2011年11月: 刺し網のページにヘビの体型と漁網の推定規格の資料のページを追加.
罠作りのこつ のページ内容を更新.
1
2011年10月: 刺し網のページに,ハブの扱い方の説明を追加. .
罠作りのこつ のページ内容を補充. 1
2011年9月: 罠作りのこつ のページを追加(ハブ捕り器の箇所からリンク). *
2011年8月: 刺し網のページに,屋敷や農地における刺し網の設置地点例の図を追加.
刺し網のページに,市町村と自治会における刺し網の設置地点例と予想効果のページを追加.
2013年4月 宮古島でサキシマハブ発見
2012年10月 ハブ対策用具の価格改定
沖縄県公衆衛生協会が,ハブ対策用具の販売価格を改定.詳しくは,次のホームページから. http://www.koeikyo.com/
2011年11月,2012年6月 タイワンスジオの買い上げ開始 (2013年3月末 当年度分終了)
沖縄島の生態系にとって驚異となっている,特定外来生物のタイワンスジオ(無毒の外来ヘビ)の買い上げを,環境省が開始.期間や匹数を限定し,2011年は1万円,2012年は5千円にて,登録した人から買い上げ.詳細は,次のホームページなどを参照. http://kyushu.env.go.jp/naha/pre_2012/0615a.html
2011年11月 2 m42 cmのハブが恩納村で捕殺 (沖縄タイムスなど)
2011
年10月12日に恩納村の住宅地路上で捕殺されたハブが,その後の計測で全長が2 m42 cmに達することが分かり,これまでの県内最長記録の2
m25 cm(2005年11月に糸満市で捕獲)を17 cmも上回った.体重は,2.9 kgであった.奄美大島では,2 m41
cmの記録があったが,今回のハブはそれよりも長かった.
2011年4月 家庭用 の刺し網の送付と手渡し を開始 (材料は無料,設置指導も可)
経費と労力がわずかなハブ捕獲法で,家庭でも利用可能な刺し網法の普及のため,1軒分の刺し網の送付を開始(直接の受け取りも,公衆衛生協会(場所は頁下部),または一部の役場で).郵返信用切手代は消費税と共に上がり,2014年4月以降は,90円は93円に,140円は144円になる見込み.
簡
単には:〒901-1202 大里
2013 公えい協 さしあみ係
まで,90円分の切手を郵便で送る(自分の住所は明記).
丁
寧には:〒901-1202 南城市大里
字大里2013 沖縄県公衆衛生協会内 刺し網担当
まで,長径3号封筒(12cm幅)なら90円分の,より大きい封筒なら140
円分の切手を貼り,自分の住所を宛先に記した返信用封筒と連絡先等のメモを郵便で送る.
折り返し,長さ約7 m
(幅60cm)の網と説明書が送られてくる.この網で,短い刺し網が5枚から8枚造れる,網だけでの設置も可能だが,ワイヤーメッシュ(自ら準備)利用の小型がお勧め.絡まったハブがしばらく生きていることがあり,設置の責任は利用者が持つ.気長に3年以上は設置する.サキ
シマハブとタイワンハブは捕れない.刺し網法の説明は, ここから.
2011年2月 2010年に 奄美大島と徳之島でのハブの買い取り数が急増 (毎 日新聞地方版から)
奄美大島
と徳之島では1954年度から,被害防止対策として県と市
町村がハブを買い上げているが,2010年の1年間のハブ
の捕獲が前年の1.5倍に急増した(30733匹で,前年から10393匹増加).暖冬と長かった梅雨などでハブの出没が多かったためとみられるが,市町村からは「報奨金(1匹4000円)
を目当てにハブ獲(と)りの住民が増えている」と,不況が要因という指摘も出ている.
ヘビの見分け方
<写真と島ごとのハブ類の分布は下記のページやリーフレットを参照>
ハブ類の分布とリーフレットは,右の沖縄県衛生環境研究所のホームページから http://www.eikanken-okinawa.jp/
以下の表には,沖縄諸島の陸上に分布する危険なヘビがすべて含まれています(無害なヘビは主な種のみ示す).
(全長と色や模様は標準的なもの,かっこ内は方言名)
ハブ ヒメハブ サキシマハブ タイワン ハブ
アカマタ リュウキュウアオヘビ ガラスヒバァ タイワンス ジオ
アマミタカチホヘビ ハイ ハブ(類)と無毒ヘビとは背中の鱗数が異なる
|
サキシママダラ イワサキワモンベニヘビ ヨナグニシュウダ
|
棒で頭か胴をたたく,逃がすと危険 ハブ用スプレーをかける
|
ハブの追い出しを狙う 屋内では粘 着テープで捕らえる ネズミを入れるハブ捕り器
(ハブに咬まれても毒が入らない場合があります.症状が出なければ,吸引や受診は不要で す)
|
ハブ咬傷直後の傷 口で毒を吸い出す 専用の吸引器
私達は野生のハブ をめったに見かけませんが,県内のハブ咬症の80%以上は集 落内や畑で発生しています.那覇などの市街地内にある狭い林にも,ハブが住んでいます.私達の日常生活の場所にハブが出るので す.ハブ対策には,草刈りと穴埋めなどの環境の整備,ハブフェンスによる侵入防止,刺し網やハブ捕り器による捕獲,パンフレッの配布などの啓発活動があ り,関連機関と住民がそれぞれで適した方策をとる必要があります.狭い地域においてもハブの根絶は困難ですので,予防対策は半永久的に続ける必要があります.経費と手間を考慮して, 危険性の低減方法を選んで下さい.それには,このページなどで示した各対策手法の特徴とハブの生態などの知識が重要です.例えば,ハブの目撃の大部分は,林や草地から20m以内に集中するため,そこに位置する屋敷や施設で の対策を優先させます.なお,一部のハブ類は資源となり,売却益を予防対策に還元できますが,売却先と量とも限定されています.
沖縄島糸満市の1集 落における住民とハブ類との遭遇 ハブが隠れたり産卵する石積み
対策手法のうち
で,人手やハブ捕り器によりハブを捕獲できると一安心ですが,ハブが生息する環境があるかぎり,周囲には少なくとも数匹います.安全
性を常時高めるためには,継続した対策が必要です.
(以下に示した手法や道具の説明は,後方にあります)
屋敷や畑のハブ対
策
環境の整備
ブロック塀やハブフェンスの構築
刺し網の設置
ハブ捕り器の設置(役場に依頼など)
誘導トラップの設置
ハブノックの準備
ネズミなどの餌動物の駆除
草刈り・農作業・キャンプのさいには,服装を整え,必要に応じて棒・吸引器・防具を準備
なお,山地や離島などへ行く前には,治療用の抗毒素がある診療所か病院の場所と電話番号を調べておきます(沖縄県薬務疾病対策課のHPにリストあり http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/cateview.jsp?cateid=93)
家族や個人よりも大規模となる以下の対策は, ここから
沖縄県におけるハブ対策などについての年表は, こ こから.
雑草をきれいに
し,廃品・廃材などを除去します.
石積みの穴を埋めます.
屋敷の隙間や床下の入り口等を金網等で目張りをして,ハブが入らないようにします.
外灯を設置します.
ハブの餌となるネズミやビーチャーを駆除します.
穴埋めされた石積み 廃材や大型ゴミはハブの住み家となる 危険な 歩道 集落と林との境界のハブフェンス
屋敷や施設への侵入防
止や,土木工事現場からのハブの拡散を防ぎます.フェンスの種類・経費とも様々ですが,肝心な点は,
1.フェンスの外側(ハブの居る側)約1mの幅には,雑草や木・廃材などが無いように管
理.
外側の地表に捨てコンを敷いておくと管理が容易.
2.フェンスの外側の面に突起を造らない.
フェンスの最低の高さなどは, ここから
おもに,工事現場で用いるナイロン網フェンスは, ここから
ヘビなどの動物用のフェンス開発法における
注意点などは, ここから(研究者など向け)
沖縄で古くからハブを
からめ捕ってきた刺し網について.適する網目サイズと,簡便な網の設置法が工夫されました.刺し網は,わ
ずかな経費で設置でき,管理がほとんど不用です.設置場所に注意し
ながら,たくさん用いると,自らの手によりハブを減らせます.
ワイヤーメッシュや針金を利用した使いやすい刺し網などの説明は, ここから.
簡単な図と説明は, ここから,
エクセルファイルは, ここから.
屋敷と林との間の刺し網 壁沿いに設 置する誘導トラップ ネズミを入れるハブ捕り器
誘導トラップは,
壁ぞいに這うハブの捕獲をねらった,住民が簡便に用いるハブ対策用の道具です.ネズミなどの餌
を用いないため,設置後の維持はほとんど不要で,屋敷近くのハブが
減少します.三角型が市販されています
三角型誘導トラップ <4200円,大型ホームセン
ター,沖縄県公衆衛生協会>
三角柱の両端に,先細りの形状の金網が付き,入ったハブが出られないようになっています.ハブが多い林などに面した壁沿いに密着させ,ブロックで押さえ
ます.数ヶ月に1回は点検して,入り口の枯葉などを除き,隙間が変形していれば調整します.ハブが捕れて,保管・運搬する場合には,全体を袋などに入れま
す.
ペットボトル利用誘導トラップ <自作(試用段
階)>
ペットボトルなどを材料に自作する誘導トラップです.実験での捕獲実績はあります.
造り方,設置法は, ここから.
写真などは別のページから. なお,一般的な 罠作りのこつは, ここから.
ハブ捕り器は,お
とりのネズミを食べようとしたハブを生け捕りにする道具です.入口は入ったハブが出にくいしくみになっています.ネズミの入手と世話が
容易でないため,おもに役場が所有・運用しています.屋敷なら,ハブのいそうな日陰に2,3台を数カ月間用います.ハブが捕れて,保管・運搬する場合に
は,全体を袋か箱に入れます.
ハブ捕り器の使用方法やネズミの扱い方などは, ここから(おもに役場の担当者向け). なお,一般的な 罠作りのこつは, ここから.
殺虫スプレーに似た製品ですが,成分は直線的に約3m飛び,5秒以上の噴射で,ハブは数時
間後に死にます.動かなくなったハブを,すぐに手でつかまない
ように.スプレーがなければ,1.5 mくらいの棒でたたきます.現在の市販品は,「ハブノック」の後継の「ハブノック・ネオ」.
注射器に似た製品で,ピストンを動かすと,強い吸引力で血といっしょに毒を吸い出します. 数種類の吸い口から,吸い付きやすいものを選んで用います.な ければ口で吸います.
ハブにスプレーをかける ハブ用スプレー ハブ毒の吸引器 ハブの追 い出しを狙う
市販の殺虫スプレーのなかで,灯油(第2石油)入りのものをハブがいる穴に吹き込むと,ハ
ブが出てくることがあります.パイン畑でハブを逃がした場合
は,薄めたクレゾール石
けん液が噴霧されています.
市販のガムテープを,15
cmほどの長さに切り,表を内側にした輪を作り,部屋や廊下の端に数メートルおきに固定します.ハブが通れば,くっつきます.なお,畜舎用の捕虫シートは
より長寿命です.
石積みや石垣のハブの隠れ場所,産卵場所をつぶします.材料のセメントを無料で提供する市
町村もあります.
屋内でのハブ捕獲用テープの作り方 テープに引っ付いたハブ 穴埋めされた石積み
石積みの穴などのハブの隠れ場所の内部に,スプレー用の器具を用いて灯油を吹き込むと,ハ ブによる利用が減る可能性があります.A重油や軽油も効果があ ります.なお,ハブはイオウ臭がない重油成分も嫌います.薄めたクレゾール石けん液は,寿命が短いです.
手元のレバーを握ると,棒の先でハブを挟めます.専門家用で,一般人による生け捕りは危険
です.
ハブ咬症の多くは農作業中に生じ,被害は手足の先端部に集中します.ハブの牙を通さない生地、セールクロス製(12オ ンス,ポリエステル)の手甲と脚絆が公衆衛生協会で市販されていました。軍手内に生地を入れるのも可能です。生地とマジックテープでの自作は、脚絆では容 易ですが、手用では関節部の成形が難しいです。なお,ゴム長靴は,危険性を大きく減らしますが,まれに牙を通します.
灯油をかけた石の隠れ場は使われにくい ハブ挟み棒(専門家用) 咬傷予防用の防具
ハブの習性・被害・対策法などをまとめた30分の映画.製作は古いですが,現在でも役立
つ映像と情報を多く含みます.
おもに沖縄県のハブ対策に関連する事柄の年譜です. ここから.
ハブの分布,体の構造,生活,被害などについては, ここから.
イオウを敷いた隠れ場所を嫌わない アカマタを食べたアカマタ
|
ハブの咬傷の症状について解説します(こ
こから).
以下のリンクは,ハブ類の咬症件数の資料です.信頼性が高い資料が残っている時代からの件数の変遷と,最近の13年間内の被害の傾向を割合で示しまし
た.項目別の1年ごとの件数は変動が大きいため,傾向を示すには不適です.
資料(エクセルファイル)は, ここから
資料(PDFファイル)は, ここから
沖縄島に持ち込ま
れ問題となる,以下のヘビについて解説します(ここから).
サキシマハブ
タイワンハブ
タイワンスジオ
タイコブラ
アカマタなどその他のヘビの写真(外来種は上から)は, ここから.
鹿児島県の奄美諸島にもハブが生息し被害が出ています.ハブの生態などは,沖縄県のハブと
同様です.奄美諸島のハブの被害と対策などについては, ここから.
九州以北にはニホ
ンマムシが生息し被害が出ていま
す.咬症件数は正確には分かりませんが,近年では年間約3000件です.うち,死亡に至るものが約10件あります.
世界では,主に熱帯,亜熱帯地域において,多種類
の危険な毒ヘビが生息し,多数の被害が出ています.ただし,これらの地域では,食糧問題や感染症の流行などの重大な問題が存在するため,毒ヘビ被害の実態
は把握されていません.概数として,年間で500万人が咬まれ,うち250万人の体内に毒が入り,死亡数は10万人以上とされています
(別の推定結果では,120万人から550万人が咬まれ,うち40万人から180万人の体内に毒が入り,死亡数は2万人から9.4万人).
マムシと世界の毒ヘビによる被害は大きいですが,その多くは集落内や市街地でなく,農地などでの発生です.集落や街の屋敷内の庭や道路,さらに室内での
咬症が珍しくないハブの脅威は,人の生活により密着したもので,深刻です.
入手先 内容と情報は主なものを記しましたが,対応できない場合もあります. | ||||||
分類 |
機関 |
場所 |
Tel |
Fax |
相談などの内容 |
ホームページの情報 |
各市町村 |
ハ ブ担当課 |
市町村役場内 (課の名前は市町村により異なりま す,代表に電話しハブ担当を訪ねます) |
ハブ捕り器の設置,環境整備の相談,ハブ引き取り |
対策等の説明を含む場合あり |
||
沖縄県 |
薬 務疾病対策課 |
県庁内3階 |
(098) 866-2215 |
(098)866-2241 |
相談,事業計画 |
抗毒素常備医療機関のリストhttp://www3.pref.okinawa.jp/site/view/cateview.jsp?cateid=93 |
衛 生環境研究所 |
南城市大里 |
(098) 946-6710 |
(098)946-6711 |
相談,資料提供,展示,ハブ引き取り,採毒,研究 |
対策の説明,リーフレットのファイルhttp://www.koeikyo.com/ |
|
鹿児島県 | 大島支庁保 健福祉環境部 衛生・環境室 | 奄美 市名瀬永田町 | (0997) 52-5411 | (0997) 53-7874 | ハブ
と対策の説明,鹿児島県の咬傷時の医療機
関のリストと咬症・買い上げ数 |
|
財団法人 |
沖 縄県公衆衛生協会 |
南城市大里 |
(098) 945-2686 |
(098)945-3973 |
材料・器具の販売 |
対策用器具等の説明http://www.koeikyo.com/ |
日 本蛇族学術研究所(蛇研,スネークセンター) |
群馬県太田市 |
(0277)78- 5193 |
(0277)78-5520 |
日本・世界のヘビの展示や催し,採毒,研究 |
施設案内,ヘビの解説,催しの案内http://www.sunfield.ne.jp/~snake-c/ |
|
|
||||||
南城市大里に位置する2機関は,いずれも大里の南風原自治会公民館の坂の上 の,沖縄県動物愛護管理センターの手前にあります . |
関連文献 (沖縄県のハブの生態と防除に関するものが中心) のリスト(エクセルファイル)は, こ こから
学 会・研究会 沖縄県の爬虫両棲類に関係 (2012年時点での住所など)
沖縄両生爬虫類研究会
〒903-0213 沖縄県西原町千原1
琉球大学教育学部自然環境科学教育コース内